| 学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 阿部 康人 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 盲人社会における「聴覚的空間」から「視覚的空間」への変容:江戸後期の地歌・箏曲における楽譜のメディア論的分析と当道座盲人社会の解体をめぐって | ||||
| 内容 | 明治維新期に起こった、かつての盲人自治組織「当道座」解体に伴う盲人音楽家の地位の凋落を、マクルーハンの理論を用いて技術決定論的視点から分析する。従来、この没落は政権が変わり近代化する中で起こった政治的特権の喪失として語られてきた。本研究では、盲人によって発展、継承されてきた「地歌箏曲」音楽の伝達手段が口伝という「クール・メディア」から、詳細な視覚情報を持つ楽譜という「ホット・メディア」へ変容した点に注目する。江戸時代に発行された三つの楽譜を時系列で取り上げ、「リズム」「音程」「奏法」の三つの要素がどれ程詳細に記されているかを評価し、時代が下るにつれて楽譜の「ホット度合い」が上がることを明らかにした。この「楽譜のホット化」により、盲人の師匠が記憶によって独占してきた情報の非対称性が解消され、晴眼者でも楽曲の再現が容易になった。地歌箏曲の音楽環境が「聴覚的空間」から「視覚的空間」へ移行した結果、卓越した記憶力とそれに依る権威を誇った盲人の師匠たちは、視覚的なルールに適応できない「障害者」へと再定義され、周縁化されたと結論づける。 |
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| 講評 | メディア論で有名なマーシャル・マクルーハンの理論を参照しながら、江戸時代から明治時代にいたるまでの盲人音楽家の楽譜を研究対象とした作品です。自身のこれまでの課外活動を元にしたテーマ設定に加えて、メディア論の抱える課題にも言及しつつ、本研究テーマに果敢に取り組んだその姿勢を評価します。一方で、議論をもう少し丁寧に展開すればさらに説得力のある論文になったかと思います。自身が取り組んできた課外活動とメディア学の知見を重ね合わせながら、最後の最後まで書き切りました。学生時代の努力の結晶である本作を評価します。 |
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| キーワード1 | マクルーハン |
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| キーワード2 | 地歌 |
| キーワード3 | 楽譜 |
| キーワード4 | 視覚障害 |
| キーワード5 | 近代化 |