卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名山田 礼子 年度2025年度
タイトル高校生の文理選択をめぐる自己決定の構造に関する研究 ―文理選択を方向づける要因構造の量的分析―
内容  現代の日本では、教育と将来の仕事とのつながりが重視される中で、高校における文理選択は、生徒が進路を考える上で重要な分岐点となっている。しかし、AIやDXの進展により文理を横断した力が求められているにもかかわらず、高校では早い段階で文系・理系の二者択一を迫られている。本研究は、高校生への質問紙調査を通して、文理選択の時期や理由、教科の得意・苦手意識の形成、ジェンダーに関する認識を分析した。その結果、文理選択は個人の興味や能力だけでなく、これまでの学習経験の積み重ねや将来への意識、社会的・文化的な期待が複合的に影響する意思決定過程であることが明らかとなった。特に、教科の得意・苦手意識が早期に形成される点や、理系進路をめぐるジェンダー意識が進路選択に影響している点が示された。以上より、文理選択を前提とした進路指導の在り方を再検討する必要性が示唆された。
講評 本年度は、20000字の卒業論文を選択した学生は11名、留学により10000字の卒業研究を選択した学生は1人であり、全員が無事に期日通りに提出した。当該ゼミでは、データを収集し、それを分析することが基本となっているため、早期からデータ収集に取り掛からなければ、分析と卒業論文執筆までこなすことはむずかしい。学生達は、量的調査と質的調査の二つの方法すなわち、アンケート調査とインタビュー調査のどちらかを選択して、卒論を書き上げた。また、既存のコマーシャルの録画メディアを収集して、その内容を分析した学生もいた。卒業研究は10000字という制限もあることから、基本的にデータを収集しない文献研究にもとづいておこなうことになった。量的調査も質的調査もいきなりこうした方法の経験がなければ簡単ではない。そのために、3年次においてプロジェクトという形で、量的調査あるいは質的調査を経験し、それをまとめて、グループによる論文としてまとめることを卒論の事前学習として3年次におこなった。そして、そうした経験をベースに4年次では、独自のテーマを設定し、個別指導と、教室での段階的な発表を行い、調査を実施し、まとめていくというプロセスを取ることになる。テーマは、高等教育、ジェンダー、留学生というように、指導教員の専門分野に関連した内容が多く、今年は指導もスムーズにできたと思う。量的調査においては、今年の学生はSNSを活用して、アンケート調査回答者を幅広く集めた学生が多かった。また、自分の出身高校への丁寧な説明を行い、高校生を対象にしたアンケート調査も行った学生もいた。こうしたことは社会人になって仕事を行う場合にも不可欠な要素であり、良い経験になったと思われる。質問項目の作成においても、量的調査だけでなく、インタビュー調査の両方が先行研究を参考にしながら、自分なりの質問項目を作成したことを評価したい。かつては、紙による質問票であったのだが、オンライン調査もこれからの選択肢になることを証明できたと思う。計画を立てながら、早期からテーマに取り組み、個別指導を有効に利用して全員が複数回の卒論の修正を行うというプロセスを通じて提出に至り、2年前から復活した合宿を通じて、より深い卒論の洞察ができたのではないかと思われる。量的調査を選択した学生においては、分析方法などについて、難しいながらも、先行研究を参考にしながら、自分のものにしていき、良い分析へとつながったと思う。インタビュー調査を選択した学生や既存の文献やメディアの内容を分析した学生も、先行研究をしっかりと読むことによって、良いRQを立て、分析へとつながったと評価したい。いずれの、論文も論理的に矛盾はなく、掘り下げもしっかりとできており、オリジナルな視点を提示していたといえるだろう。
キーワード1 文理選択
キーワード2 得意・不得意
キーワード3 進路意識
キーワード4 ジェンダー格差
キーワード5