| 内容 |
本研究は、公立中学校における部活動の地域移行に関し、その最大の障壁である「指導者の確保」について、機能分化論の観点から分析を行ったものである。長年、日本の中学校教育において部活動は生徒の社会化や人格形成に多大な役割を果たしてきた。しかし、少子化の進行と教員の働き方改革という社会的要請を背景に、学校単独での活動維持は構造的な限界を迎えている。地域移行は不可避な改革であるが、多くの地域で受け皿となる指導者の不足や質の担保が喫緊の課題となっている。本稿では、部活動が学校内で未分化に抱え込んできた「ガバナンス」「コーチング」「ウェルフェア」の三機能を解体し、それぞれを最適な主体へ再配置するモデルを提示した。その上で、先進的な取り組みを行う静岡県掛川市(組織主導型)と神奈川県横浜市(人材バンク型)を対象に事例比較を行った。分析の結果、掛川モデルは既存の社会関係資本に基づく「信頼」によって質の安定を図り、横浜モデルは労働市場システムに基づく「市場」によって量の確保を図っていることが明らかとなった。結論として、持続可能な制度構築には、指導者の専門職化による質の保証、学校と地域をつなぐコーディネーターの配置、および行政による公的責任の堅持が不可欠であることを論じた。 |