| 内容 |
本稿は、LRT導入事例として富山市と宇都宮市を比較分析し、LRTが都市再編に与える影響を考察する。LRTは、自動車依存による都市拡散と公共交通衰退の悪循環を断ち切り、都市機能の再集約を図る「コンパクトシティ政策」の中核をなす都市装置として再評価されている。富山の事例は、廃線危機にあったJR富山港線という既存インフラと、路面電車利用の文化という物理・文化的ストックを活かした再生事業である。「お団子と串」構想のもと短期間での導入と利用者回復を実現した。宇都宮は既存路線を持たない全新設型として、「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現を目指した。計画から開業まで約30年を要したが、この期間は車中心の移動観を転換するための「成熟の時間」であったと評価できる。また、ノウハウ不足を全国の事業者からの知見の「移植」によって克服し、国内初の全扉信用乗車方式導入など制度的革新を伴った。両事例の比較から、LRT導入の成否は技術や制度だけでなく、都市の歴史的背景や合意形成のあり方に深く依存することが示された。LRTは、多様な人々が共存する交通体系を再構築し、持続可能な都市づくりを推進する重要な装置である。 |