卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名樋口 摩彌 年度2024年度
タイトル漫画『ONEPIECE』から見る繰り返される黒人差別表象
内容 本論文では、人気漫画『ONE PIECE』に描かれる魚人差別を通じて、黒人差別との共通点や人種差別の背景を論じる。作中の魚人たちは長年にわたり人間から差別を受けており、これは黒人差別と重なる要素が多い。差別が生まれる
主な要因として、①歴史的背景:奴隷として扱われた過去が差別の基盤となっていること、②固定観念:嘘と真実が混じった伝承が偏見を助長していること、③心理的要因:他者を見下すことで共同体として優位性を感じることが挙げられる。これらの要素は魚人と黒人の差別に共通し、作者は漫画を通じて人種差別の愚かさを伝えようとした可能性がある。差別をなくす努力は、現代を生きる私たちの課題である。
講評 本論文は、漫画『ONE PIECE』に描かれる魚人差別と、現実の黒人差別との共通点を分析し、人種差別の背景や要因を論じたものである。本論では、作中の魚人差別が奴隷制度や固定観念、心理的要因といった現実世界の差別と重なる要素を持つことに注目し、物語の背景を深く掘り下げた点は評価に値する。とりわけ、作中の魚人差別と、現実の黒人差別を照らし合わせ、差別が生じる構造、それが社会に定着する様相を明らかにした視点は、非常に斬新である。また、黒人差別の歴史的経緯にも触れ、社会的な文脈を踏まえた考察を行ったことで、物語分析にとどまらず差別問題の普遍的な側面に言及している点は意義深い。

一方で、論文としては、分析の具体性に課題が残る。一つ一つの出来事を、深く論じることで、さらに実証的になるといえよう。
なお、全体として、差別表象の分析という意義あるテーマに挑んだ点は評価できる。
キーワード1 人種差別
キーワード2 偏見
キーワード3 表象
キーワード4 ONEPIECE
キーワード5