卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名阿部 康人 年度2024年度
タイトル『あまちゃん』と『おかえりモネ』における東日本大震災の被災者の描き方 〜実際の被災者の様子との比較〜
内容 NHK の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)と『おかえりモネ』(2021)には、どちらNHK の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)と『おかえりモネ』(2021)には、どちらも作中に東日本大震災の描写が登場する。作中では被災した人々が多く登場するが、その被災者の描き方はそれぞれ異なる特徴がある。同じ連続テレビ小説という枠の番組で、被災者についてなぜ異なった描き方をし、それがどのように作品の要素となっているかについてを研究する。また、実際の東日本大震災の被災地の状況と比較して、どのような共通点があるか、どのような相違点があるか、そして、それらの違いはなぜ、どのような意図によって生まれたのか、なぜそのような表現が必要だったかについて調べた。また、東日本大震災をはじめとした自然災害を、テレビドラマというフィクション作品で取り扱うことについての意義や懸念点について考察した。被災した人々には周辺環境の変化が起こり、それは同時に関わる人の変化ももたらす。それは被災者にとって大きなストレスであり、アルコール等への依存も引き起こす。二作品には共通して、津波の演出はなされず、津波を見つめる俳優たちの表情を映すにとどまった。その理由として、実際に岩手県や宮城県で被災した人々のトラウマに最大限配慮した結果と考えられる。テレビドラマというコンテンツで災害を扱う際は、トラウマに配慮しつつ、視聴者にただインパクトを残すだけのものになってはいけない。
講評 2011年3月に起きた東日本大震災を題材とした2つのNHK連続テレビ小説を研究対象とした作品です。個人の問題意識とテーマ設定が密接に結びついており、丁寧に議論が展開されていた点を評価します。一方、研究方法についてもう少し丁寧に記述できていればさらによい論文になったのではないかと思います。2024年1月には能登半島地震などもあり、たいへん難しいテーマであったものの、ぶれることなく最後まで書き切ることができました。学生時代の努力の結晶である本作を評価します。
キーワード1 東日本大震災
キーワード2 あまちゃん
キーワード3 おかえりモネ
キーワード4 テレビドラマ
キーワード5 津波