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NHK の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)と『おかえりモネ』(2021)には、どちらNHK の連続テレビ小説『あまちゃん』(2013)と『おかえりモネ』(2021)には、どちらも作中に東日本大震災の描写が登場する。作中では被災した人々が多く登場するが、その被災者の描き方はそれぞれ異なる特徴がある。同じ連続テレビ小説という枠の番組で、被災者についてなぜ異なった描き方をし、それがどのように作品の要素となっているかについてを研究する。また、実際の東日本大震災の被災地の状況と比較して、どのような共通点があるか、どのような相違点があるか、そして、それらの違いはなぜ、どのような意図によって生まれたのか、なぜそのような表現が必要だったかについて調べた。また、東日本大震災をはじめとした自然災害を、テレビドラマというフィクション作品で取り扱うことについての意義や懸念点について考察した。被災した人々には周辺環境の変化が起こり、それは同時に関わる人の変化ももたらす。それは被災者にとって大きなストレスであり、アルコール等への依存も引き起こす。二作品には共通して、津波の演出はなされず、津波を見つめる俳優たちの表情を映すにとどまった。その理由として、実際に岩手県や宮城県で被災した人々のトラウマに最大限配慮した結果と考えられる。テレビドラマというコンテンツで災害を扱う際は、トラウマに配慮しつつ、視聴者にただインパクトを残すだけのものになってはいけない。 |