卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名藤本 昌代・池田 梨恵子 年度2024年度
タイトル運輸業におけるAI・自動化技術利用
内容 運輸業においては人手不足が深刻な問題であり、その対策としてAIや自動化技術を導入している企業が増加している。しかし、自動化技術の導入には失業の懸念や労働者の技能に対する影響など、その職場で働く人への様々な影響が先行研究から指摘されている。そこで、本稿では運輸業において、AIや自動化技術の導入が実際の物流業務を担う現業職の働き方にどのような影響をおよぼすのかという問いを立てた。上記の問いに答えるため、自動化技術を導入している運輸業の企業3社に対する調査を行った。その結果、現業職の技能の一部は自動化技術に代替されているものの、依然として熟練作業者の技能は現場において重視されていることが分かった。また、今回調査を行った3社では、自動化技術を導入したことによる失業は見られなかった。むしろ、人手不足が深刻な運輸業において、自動化技術は作業者の負担が大きい仕事を代替することによって労働者が無理なく働くことができる仕組みをつくり、人材の流出を防ぐ役割を果たしていることが明らかになった。 
講評  池田・藤本ゼミの卒業論文は、個々の学生の興味関心を反映したテーマについて、研究・執筆が行われました。13名のゼミ生の卒論のテーマは、①京都市のDVの実態と支援、②ハラール対応飲食店、③子どもの習い事の格差、④大学生のポジティブな休学、⑤大学生の留年・中退、⑥海外での日本人留学生の就労、⑦日本企業におけるAI技術開発の推移、働く場におけるAI導入の影響(⑧運輸業・⑨製造業における需要予測)、⑩部活における組織改革の影響、⑪学生のサークル参加への意識、⑫社会人野球選手のキャリア、⑬家族経営の農業におけるジェンダー変遷、という多様なテーマになっています。また、3年生の社会調査実習で取り組んだテーマを発展させて卒論のテーマを設定した学生も3名いました。調査方法についても、インタビュー調査や参与観察、資料分析、量的データの二次分析まで様々な調査方法や複数の調査方法を組み合わせて、調査に取り組みました。
 全体的に卒論を進み具合が2極化したことで、完成度に差が見られました。早い進度のグループは、広く文献を捕虜し整理できていました。また、分析や考察にもじっくり取り組んだことで、完成度の高い論文になっていました。遅いグループの研究も、それぞれの研究で興味深い事例や新しい知見の提示がなされていましたが、既存の研究の整理と問いの設定のつながりが曖昧になっていたり、既存の研究の中に調査結果を位置づけられていない論文もあり、もう少し早く取り組むことでより完成度が高められたのではないかと思います。
 問いを立て、調査を行い、論文を書き上げる過程は、決して簡単なことではなかったと思いますが、ゼミ生がお互いに励まし合いながら、最後まで全員が粘り強く完成に向けて努力したことを高く評価しています。この経験が今後のみなさんに役立つよう願っています。
キーワード1 運輸業
キーワード2 自動化技術
キーワード3 現業職
キーワード4
キーワード5