内容 |
本論文は、人生の分岐点の一つである就職活動で学生が持つ就職意識の違いについて、どのような考えから、地元に残る若者と地元を去る若者とに分かれたのかを明らかにする。先行研究から、地元志向を持つ学生は、地元愛と親の意向が地元志向に影響を及ぼしているという特徴と地元志向は流動的であるという特徴が見られた。都会志向については社会人を対象としたものしか見つけられなかったが、生活の中心に仕事を置き、プライベートより仕事を大切にしたいという傾向にあることがわかった。これらを踏まえて地元志向、都会志向、Iターン志向を持つ学生8人に聞き取り調査を行ったところ、就職活動での優先事項によって志向は固定的なものや流動的なもの、どちらにもなる可能性があることが明らかとなった。冒頭の問題意識に対する答えとして、地元愛は勿論、地元を出ることに対する抵抗感や実家の安心感を求めるほど地元志向は強くなると結論付けた。さらに、生活の中心に仕事を置き、実家を離れることに抵抗感がなく、環境が変わることへの好奇心が高いほど都会志向、Iターン志向が強くなる。都会志向とIターン志向の違いは、仕事をする中で生活を考え、働く場所にこだわりを持つと都会志向が強くなり、仕事のためであれば働く場所にはこだわらないという意思を持つとIターン志向が強くなる。 |