内容 |
近年、高齢者が引き起こす交通事故が社会問題となっている。その影響で、本来ならば運転ぶりに問題のない高齢者まで免許を自主返納するべきだという空気感が広がっているように感じる。免許を返納すると移動手段が限られるという地方に住む高齢者の境遇を配慮せずに、「高齢」という理由だけで一律に免許返納を求められる風潮に疑念を抱いた。そこで、地方に住む高齢免許保有者と高齢免許返納者の実態や課題を明らかにすることを本論文の目的として、インタビューを行った。その結果、免許返納後は家族の支援を受けていることやコミュニティバスの普及を求めていることなどが明らかになった。交通事故の被害者にも加害者にもならないために早めに免許を返納することも大事な選択肢である一方で、高齢者になっても自分の運転状況を理解しながら安全に運転し続けることも重要な選択肢の1つである。「高齢」という理由だけで一律に免許返納を促すのではなく、各々が自由なタイミングで自主返納することがベストである。今後、さらに高齢運転者の増加が見込まれる中で、高齢免許保有者、高齢免許返納者の双方が暮らしやすい社会のあり方を検討し続けることが必要不可欠である。 |