卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名吉田 亮 年度2009年度
タイトルアメリカにおける日本人キリスト教会の社会的役割と存在意義1917~1926年―ユタ州ソルトレイク市の日本人社会の事例を中心に―
内容 これまでの日本人移民史研究は、カリフォルニア、ワシントン州をはじめとする沿岸部地方が中心とされてきた。本研究では、ユタ州の塩湖日本人キリスト教会を事例に、教会が日本人移民社会内において担った、社会的役割と存在意義について検証する。ユタ州の日本人コミュニティ内で発行されていた邦字新聞『ユタ日報』を用いながら、塩湖キリスト教会が展開した文化活動である、日曜学校、婦人会、共励会などに加え、啓発運動、排日土地法への対処の社会活動に焦点を当て考察する。
ユタ州の日本人移民社会を事例として取り上げることは、これまで解明されてこなかった山中部地方における、日本人移民史の文化・社会的側面を明らかにする新しい試みである。それだけでなく、沿岸部地方とは異なる、モルモン教という背景を特性として持つホスト社会が日本人に与えた影響を検討することは、これまでの移民史研究になかった新しい知見をもたらすものである。
講評 今年度は3名の卒論提出者があった。テーマ設定に余裕を持ったスケジュールを組めなかったために充分な考察に至らなかったケースもあるが,総じて卒論のハードルを越えられるレベルに到達するものであったので安堵している。ユタ州ソートレイクにおける日本人キリスト教会の社会的役割,ハワイ沖縄出身移民湧川清栄の救済活動,アメリカのヒスパニック系を主要な対象者としたPALMSプロジェクト,そして未完成ではあるがアメリカのプロテスタント教会と同性愛の問題など,本ゼミの特徴を幾分なりとも生かしたテーマであり,文献レビユーではなく一次資料を踏まえての考察になっている。卒論は4年間の集大成であるが故に,ゼミ生の皆さんがそれぞれの作品を読み合うことで,自分とは違った学生生活に出会えるという醍醐味がある。他の学生の作品も大いに鑑賞して欲しい。
キーワード1 日本人移民
キーワード2 日本人キリスト教会
キーワード3 社会的役割
キーワード4 ユタ州
キーワード5 ソルトレイク市