卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名吉田 亮 年度2009年度
タイトルハワイ沖縄系移民の集団統一意識形成の研究(1945-1950)─ハワイの沖縄出身移民・湧川清栄氏の救済活動を手がかりに─
内容 ハワイは日本から多くの出移民が移住したことでよく知られている。特に沖縄県出身移民は、日系移民とは一線を引き、移住当時からよく慣れた出身村落集団という小さなコミュニティを固持し暮らしていた。本稿では、彼らが戦後の沖縄救済運動を通じて、村落を越えた「沖縄系」としての統一意識の形成したことについて論じる。沖縄出身移民に沖縄系という統一意識を持つことを強く訴えた活動家として湧川清栄を取り上げる。彼は、運動機関である「更生会」を設立し、沖縄を沖縄の人々の手で長期的に支援するためには教育という分野の向上を促すことが最も重要であると主張した。物資調達のみに留まらず沖縄の制度的改革を促そうとし、日米間の国際情勢に揺れる沖縄の目指すべき将来像や、沖縄系移民と沖縄の関係性のあるべき姿について移民社会に問いかけた。移民という立場からの彼のその思想を探り、沖縄系移民統括へのプロセスを考察することが本稿の目的である。
講評 今年度は3名の卒論提出者があった。テーマ設定に余裕を持ったスケジュールを組めなかったために充分な考察に至らなかったケースもあるが,総じて卒論のハードルを越えられるレベルに到達するものであったので安堵している。ユタ州ソートレイクにおける日本人キリスト教会の社会的役割,ハワイ沖縄出身移民湧川清栄の救済活動,アメリカのヒスパニック系を主要な対象者としたPALMSプロジェクト,そして未完成ではあるがアメリカのプロテスタント教会と同性愛の問題など,本ゼミの特徴を幾分なりとも生かしたテーマであり,文献レビユーではなく一次資料を踏まえての考察になっている。卒論は4年間の集大成であるが故に,ゼミ生の皆さんがそれぞれの作品を読み合うことで,自分とは違った学生生活に出会えるという醍醐味がある。他の学生の作品も大いに鑑賞して欲しい。
キーワード1 移民
キーワード2 ハワイ
キーワード3 沖縄
キーワード4 更生会(救済運動)
キーワード5 湧川清栄