内容 |
この論文では、観光と文化の関わりについて考察していく。近年観光は世界各地で行われ、その需要は拡大している。観光客であるゲストは、癒しや楽しさを求め、一時的に非日常性を体験しに行く。そのとき観光の対象の一つとなるのが、受け入れ側のホストの文化である。この観光対象としての文化には、経済的に豊かなゲストが、観光収入に頼るホストを訪れるという支配的な関係が成り立っているため、ゲストの存在はホスト文化に大きく影響する。そのときホスト側の文化にさまざまな変化が起こる。この変化を、タイの首長族、台湾、バリ島、沖縄、この4つを例にして検証していく。観光によって起こる文化変容として、自文化が観光客目線に変化したものと、新たに創られた文化がホストにも受け入れられ、伝統を誇りに思う機会を与えたものがあった。しかし、観光客(ゲスト)が相手の文化の本来の姿を知りたいと思っているかどうかを考えてみると、一概にネガティブな変容ともいえないし、ポジティブな変容も観光がビジネスとして成り立っている以上、そこでの自文化を直接誇りに感じるというわけではないことがわかった。そして今後の課題とともに、観光と文化の今後を見据える。 |