卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名梶谷 真也 年度2025年度
タイトル「大阪府の貧困の世代間連鎖について」
内容  
 本研究は、大阪府内の低所得構造都市群における貧困の世代間連鎖を、地域構造的な視点から検証した。
 まず、長期の所得データに基づき低所得が固定化した地域群を特定し、この地域群が失業率や母子世帯割合の高さといった貧困リスクを抱えていることを示した。構造的な低所得を背景に、世帯の教育投資、塾などの補助学習費が抑制され、これが見えない教育格差を生み出していることが確認された。
 実際の大阪府内の低所得構造都市群においても、学力調査データから格差の固定化は確認され、大学・大学院卒割合において、高所得地域との間で大きな進学格差が20年間にわたり維持された事実が分かった。
 この結果は、所得の固定化が、教育格差を経て子の将来の所得を決定づける最終学歴という最も重要な進路選択の機会を制限し、貧困の連鎖を地域構造として再生産しているという仮説を裏付ける。
最後に、この連鎖を止めるために、補助学習費への給付金制度の拡大、返済不要の給付型奨学金の設置、所得構造改善支援の三つの支援を提言する。
講評 本論文は,1985年以降の大阪府の市町村パネルデータを用いて「市町村レベルの差」と「時系列の差」というふたつの差に注目し,貧困の固定化について議論している.そして,市町村レベルの差が時系列的にほとんど変化していないことを明らかにしている.しかし,大阪府において,地域レベルでみた貧困の固定化はいつから観察されるのだろうか.例えば,大阪府の統計年鑑は明治時代から刊行されている.より昔の統計を利用した分析にも取り組んでほしかった.
キーワード1 大阪
キーワード2 貧困の世代間連鎖
キーワード3 低所得地域
キーワード4 教育格差
キーワード5 進学格差