| 内容 |
本研究は、地域経済を支える協同組織金融機関である信用金庫において、融資以外の付加価値的なサービスを収益として確立することが十分に進展していない要因を明らかにすることを目的とする。近年、低金利環境の長期化や人口減少の進行により、信用金庫を含む地域金融機関には、従来の融資中心型ビジネスモデルから、取引先企業の経営課題解決を支援する伴走支援型金融への転換が求められている。しかし、信用金庫における経営支援やコンサルティング業務は、依然として無料提供が中心であり、対価を伴う事業として定着していない現状がみられる。本研究では、この背景に、人材育成および人事制度と、伴走支援型金融に必要とされる能力形成との間に制度的不整合が存在している可能性があるとの仮説を設定した。先行研究、統計資料、政策文書を用いた分析を通じて、信用金庫では単線型人事制度、人員不足や中堅層の欠如、OJT偏重の育成体制、ならびに融資中心の評価制度といった組織的特徴が、専門性の蓄積や支援サービスの高度化を制約していることを明らかにした。その上で、複線型人事制度の導入、外部専門人材の活用、評価制度改革といった制度的対応の方向性を示し、信用金庫が持続的に地域企業を支援するための組織基盤の再構築の重要性を論じた。 |