卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名崔 紗華 年度2025年度
タイトル1974年八鹿高校事件に関する史的考察 ~冷戦期国内政治と部落解放同盟に着目して~
内容 本稿の目的は、1974年、兵庫県養父市で起きた八鹿高校事件に着目し、事件勃発の原因を史的に考察することである。八鹿高校事件とは、八鹿高校の部落出身者や部落解放同盟南但支部メンバーらが、部落差別に対する糾弾として同校の教師への拉致監禁、暴行を行った事件である。従来の研究では同和教育の観点から八鹿高校が論じられてきたのに対し、本稿は、冷戦期の国内政治と部落解放同盟の相互作用を分析することで、八鹿高校事件を、行政と部落解放同盟の関係のなかで形成されてきたひずみが、暴力という形で表出した事件であることを明らかにした。つまり八鹿高校事件は、同和対策事業特別措置法が行政と部落地域という二項対立構造を形成し、また朝田理論が被害者の絶対化を促し、この両者が相互に作用したことにより生じた。本稿では、八鹿高校事件の是非を問うのではなく、部落問題の歴史の連続性のなかに八鹿高校事件を位置づけ、その歴史的意味を再考する。
講評 本稿は、1974年兵庫県養父市の八鹿高校において、部落解放同盟のメンバーが引き起こした暴力事件に着目し、その事件が起きた要因を史的に考察したものである。従来、社会学や歴史社会学に回収されてきた部落問題を、本稿は冷戦期の国内政治の視座から捉え直すことを試みた労作である。加えて、政治と運動の相互作用を明らかにすることで、事件を起こした部落解放同盟を一方的に非難するのではなく、部落解放同盟が暴力を引き起こすに至った構造的な要因を明らかにしている。冷戦史、日本政治史という分野において等閑視されてきた部落の問題を、政治の問題として位置づけ直すことによって、本事件が「部落民の暴力性」と一蹴されるような単純な問題ではなく、政治と部落の双方により引き起こされた「合作」であったと結論づけた点に学術的・現代的意義のある研究である。
キーワード1 部落解放同盟
キーワード2 八鹿高校事件
キーワード3 朝田理論
キーワード4 同和対策審議会
キーワード5 日本共産党