卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名兒島 明 年度2025年度
タイトル日本社会におけるルッキズムがアイデンティティの(再)構築に与える影響 ー日本人の女子大学生の「語り」を中心にー
内容 本研究は、日本社会におけるルッキズムをめぐる経験が、日本人の女子大学生のアイデンティティの(再)構築にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とする。SNSの普及により外見が常に他者の視線に晒され、評価、比較される現代社会において、若年層は外見への肯定と拒絶、憧れと距離化といった、相反する感情を同時に内在している。本研究では、SNSをアイデンティティ(再)構築が行われる「第三スペース」として捉え、構築主義的アイデンティティおよび解釈・関係主義的アイデンティティの視座に加え、自発的に常に流動的でいようとする自己の概念を用い、女子大学生9名へのインタビュー調査を実施した。その結果、ルッキズムは単にディスエンパワメント装置としてではなく、個人の主体性や再定義を可能にするエンパワメント装置としても機能し、インタビュー対象者たちの揺れ動くアイデンティティの(再)構築プロセスに深く影響を及ぼしていることが示唆された。
講評 昨今、関心が高まっているルッキズムに関して高みから断罪するのではなく、自らもその影響下に生きる当事者として、それが実際、どのように生きられているのかを、日本の女子大学生へのインタビューを通して検討した力作です。アイデンティティ概念の丁寧な理論的整理を行ったうえで、9名の対象者の語りに基づき、ルッキズムとの向き合い方をめぐってアイデンティティの変容に複数のパターンがあることを見出しました。ルッキズムにより受けた傷を癒すための主体的な選択(ある種の「エンパワメント」)がさらなるルッキズムへの囚われを生み出してしまう悪循環をどのように断ち切ることができるか。男性中心社会や商業主義を根底的に問い直す必要性が浮かび上がります。
キーワード1 ルッキズム
キーワード2 アイデンティティ
キーワード3 エンパワメント
キーワード4 ディスエンパワメント
キーワード5