卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名兒島 明 年度2025年度
タイトル留学生の留学動機は留学体験にどのような影響を与えるか ―日本に留学している学生へのインタビューを通じて―
内容 本稿では、日本に留学している留学生の「留学動機」が、留学中の適応・満足度・困難といった体験にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とする。従来の研究がプッシュ・プル理論など構造的要因に焦点を当ててきたのに対し、本研究では自己決定理論(Ryan & Deci ,1985)に基づく4類型の動機に加え、「安全保障的動機」を独自に設定した。留学生5名へのインタビュー調査を通して、動機の質が時間と共にどのように変化し、実際の留学経験にどのような影響を与えるのかを分析した。その結果、当初は奨学金や母国の不安定な状況など他律的な動機によって留学を決断した学生であっても、日本での生活や人間関係を通して学びそのものに価値を見出し、学習動機が自律的動機に変化する事例が確認された。一方で、出身国の違いによって、交友関係の満足度に差がみられ、日本社会での受け入れの度合いが影響している可能性が示唆された。
講評 5名の留学生へのインタビューに基づき、留学経験を留学動機の違いから理解しようと試みた論考です。留学は自発的な移動の典型として想起されがちですが、出身国の政情不安などに起因する「安全保障的動機」による留学を事例に含めることで、留学動機をより多面的に把握することが可能になりました。外発的動機による留学であっても、留学後の経験により部分的に自律化しうるとの指摘は重要ですし、内発的動機によって留学したとしても、人間関係構築の難しさや被差別経験が学習意欲の向上を妨げること、とりわけ被差別経験の有無には留学生のエスニシティによる偏りが見られるとの指摘は、留学生の経験を単に個人的なものでなく構造的な問題として理解することの必要性を訴えるものと言えるでしょう。
キーワード1 留学生
キーワード2 留学動機
キーワード3 自己決定論
キーワード4 自律的動機
キーワード5 質的調査