卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名奥井 遼 年度2025年度
タイトル保護施設を進める社会と「悪者扱い」されるペットショップ ー本当に目を向けるべきは何かー
内容 近年、日本では動物福祉への関心の高まりとともに、保護施設から動物を迎える選択が望ましいものとして広がり、ペットショップでの購入に対しては否定的な見方が強まっている。本稿は、「保護=善/購入=悪」という二項対立的な捉え方に着目し、その背景や影響を整理したうえで、本来何を問い直すべきかを考察した。まず、国内外における動物愛護意識や制度の変遷を概観し、日本社会における動物福祉の位置づけを明らかにした。次に、モラル・パニック論やエコーチェンバー現象を手がかりに、ペットショップ批判が拡大する構造を分析し、現場での改善努力や消費者の選好が市場に与える影響にも目を向けた。さらに、保護施設から迎える際に生じる条件的・心理的なハードルを整理し、インタビューを通じて当事者の現実的な事情を検討した。以上より、特定の選択を善悪で判断するのではなく、制度や環境、情報のあり方を含めて多角的に考える必要性を示した。
講評 動物倫理意識の高まりとともに、今日、ペットを商品として扱うことに対する批判的な目線が強まっている。筆者は、ペットショップに対してSNS上で飛び交う安易な批判への違和感を出発点として、今日におけるペットショップの位置どりを捉えようとした。法制度や世論の変遷などを整理しつつ、動物を「送り出す」側と「迎える」側双方の立場や葛藤を読み解きながら、命を扱うことにどう向き合うかという点に問題の本質を探り当てる。飼い主に対するインタビューも行い、誠実にペットに向き合い続けている飼い主であれば、ペットショップにおけるサービスの充実具合を肯定的に評価しうることが示された。語り手の選定や質問の踏み込み方にやや不十分な点は残るものの、アクチュアルな問題に対する議論の道筋を提示した点については評価される。
キーワード1 動物福祉
キーワード2 動物愛護
キーワード3 ペットショップ
キーワード4 保護施設
キーワード5 SNS