卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名奥井 遼 年度2025年度
タイトル乳幼児期におけるユーモア行動の萌芽と発達 ー他者の笑いとの関係に注目してー
内容 本稿は、乳幼児に見られる萌芽的なユーモア行動が、発達とともにどのように変化し、不整合の理解を伴った意図的なユーモア行動へと展開するのかを明らかにすることを目的とする。従来の研究は予測と結果の不一致を理解する認知的側面を重視し、主に幼児期以降を扱ってきたが、乳児期にもすでに他者の笑いを引き出そうとする行動が観察される。本稿では、保育園での参与観察、保育者へのアンケート、家庭場面の事例分析を行った。その結果、子どものユーモア行動は、偶発的・身体的な動作から始まり、他者の反応を手がかりに行動を調整する段階を経て、不整合やズレを用いた表現へと発達することが示された。特に家庭という親密な関係においては、1歳頃から笑いの共有が多く見られ、信頼する他者との相互作用がユーモア発達の基盤となると考えられる。以上より、ユーモアは認知理解に先立って社会的相互作用の中で形成されることが示唆された。
講評 乳幼児におけるユーモア行動の起源を、保育所での参与観察、保護者へのアンケート、家庭での映像分析といった複数の手法を組み合わせることで明らかにしようとする論考である。先行研究では、ユーモア行動が、乳幼児の認知面での発達(⼈間関係や社会的⽂脈の中でズレや不整合を認識できるか否か)を前提とすると主張する立場と、他者との相互行為の拡張事例であると見なす立場に二分されていた。筆者は、ユーモア行動そのものの発達に目を向け、年齢ごとにどのような変容を見せるのかを明らかにすることを課題とし、「偶発的・⾝体的」なものから「意図的・社会的」なものへと発達する構造を捉えた。事例の恣意性は一部あるものの、認知的発達と社会的相互作用の両者を重ね合わせながら考察し、先行研究の二つの立場を架橋するような見解を示したという点に学術的意義が認められるだろう。
キーワード1 ユーモア
キーワード2 乳幼児
キーワード3 萌芽
キーワード4 社会的相互作用
キーワード5