| 学科 | 教育文化学科 | ゼミ教員名 | 奥井 遼 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 教育実践における言葉がけの一考察 ―意味のずれをめぐる「調整的企て」― | ||||
| 内容 | 本研究は、学童保育のスタッフが子どもにかける言葉の意味が、発した言葉そのものに固定されず、文脈や相互の関係性によって変化するものとして捉える。そして、その言葉の意味がどのように子どもの中で立ち上がるのかを検討する。参与観察の結果、ほめや叱りといった言葉がけは、子どもの価値観や活動の形式、第三者の存在といった要因によって多様に解釈され、スタッフの意図とは異なる形で子どもの中に生じることが明らかとなった。さらにスタッフへのインタビューから、スタッフは子どもの背景や関係性、場の状況を踏まえて相手の発話の受け取り方を予測し、意味のずれを最小化するために表現を工夫していることが確認された。これらの分析を通じて、学童保育における言葉がけは、両者が協力して意味を作り上げる「協調的な企て」というより、大人が子どもの理解の枠組みを探りながら都度調整する「調整的な企て」として機能していることを示した。本研究は、大人と子どもの立場の非対称性を前提とし、双方の間でどのように言葉の意味づけが行われるのかというプロセスに着目したものである。 |
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| 講評 | 言葉が人に伝わるとき、字義通り相手に伝わるとは限らない。本稿は、コミュニケーションの不確かさを鋭く見抜く筆者が、子どもとのやりとりに関心の目を向け、意味が伝わること(あるいは伝わらないこと)の仕組みを解き明かそうとする企てである。学童保育でのフィールドワークをもとに、言葉がけが思わぬ形で子どもに理解されたり、その場に居合わせた子どもによって受け止め方が広がったりする事例が示される。筆者は、それらの不確かさを認めてもなお子どもに意味ある言葉がけをしようとするスタッフの関わりを「調整的な企て」と名付けた。既存の語用論に対する位置づけがやや不明瞭ではあるものの、コミュニケーションの構造をめぐる一定の洞察を残した。 |
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| キーワード1 | 言葉がけ |
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| キーワード2 | 語用論 |
| キーワード3 | 含意 |
| キーワード4 | 学童保育 |
| キーワード5 | 調整的な企て |