卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名奥井 遼 年度2025年度
タイトル体験型交流の展開にみる現代の伝統工芸職人の拡張的学習
内容 本稿は、伝統工芸の体験事業やワークショップといった体験型交流が、職人によっていかに実践され、どのような影響を職人にもたらすのかを分析した研究である。筆者は京都においてフィールドワークと聞き取り調査を実施し、事例を分析するための視点としてはエンゲストロームの拡張的学習理論を用いた。
分析の結果、体験型交流を通じて形成される人脈や依頼機会の増加、自信の向上が相互に作用しながら、職人の活動が拡張していくことが明らかとなった。また、実践では段階に応じて異なる課題や矛盾が生じるものの、体験型交流は職人によってそれぞれ意味づけられ、既存の仕事の一部として統合されていくことが示唆された。
講評 伝統工芸の職人に関心を持った著者が、情報発信や普及活動に関わるイベントに参加しながらフィールドワークを重ね、今日的な職人における人間形成の一端を明らかにする労作である。長期的な調査(職人へのインタビューや工房での参与観察)を重ねる中で、本稿の焦点は、ワークショップなどの体験型交流を通じて、職人がいかなる学習を進めるのかという点に絞られた。これをエンゲストロームの拡張的学習理論と重ね合わせながら読み解くことで、一般参加者との関わりへと開かれ、自身の技術を捉え直したり、新しい制作活動に向かったりするなど、伝統の中に閉じるのではなく新たな価値の創造に向かって試行錯誤する職人の姿を描き出すことに成功した。
キーワード1 伝統工芸
キーワード2 職人
キーワード3 拡張的学習
キーワード4 ワークショップ
キーワード5 体験型交流