| 内容 |
本論文では、チーム登山に内在する特性がフォロワーシップ開発に及ぼす影響を明らかにし、それを企業組織に応用する可能性を検討した。松山(2023)が示すフォロワーシップ発達モデルを基盤に、チーム登山が備える要素のうち「目標一致」「自発性」「経験学習」の三点に着目し、企業との比較分析を行った。国立登山研修所(2022)の指摘するように、登山は内発的動機づけに基づく参加形態であり、自然環境の変動に対応しながら主体的な判断が求められる。安全な登頂というチーム目標はそのまま個人目標と直結しており、この構造が三要素を自然と生み出す。一方、企業組織はゲゼルシャフト的性質をもち、目標の乖離や評価制度の影響によって自発性が生まれにくく、分業構造により経験学習の機会も制約される。本論文では、登山における三要素を企業で再現する仕組みとして OKRを取り上げ、組織目標と個人目標が直結する構造、人事考課に影響しない目標の自己決定、短い振り返りスパンによる経験学習サイクルがフォロワーの自発性と観我の発達を支える可能性を示した。以上の考察から、チーム登山におけるフォロワーシップ開発の構造を企業に活かす制度設計を理論から導き出し、フォロワーシップ開発の新たな視点を示した。 |