卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名樋口 純平 年度2025年度
タイトルテレワークの現在地とポリシーの分岐 ~出社の意義の再定義~
内容  本論文は、テレワークの導入と定着の過程を通じて、働くことや出社することの意味、ならびに組織文化や働き方の価値観がどのように変化したのかを明らかにすることを目的とする。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、日本企業においてテレワークは急速に普及し、感染対策としての役割を超えて、働き方そのものを問い直す契機となった。先行研究に基づき、働く「時間」と「場所」の設計、および業務における集中・活力・協力の観点からテレワークの影響を理論的に整理した。さらに、企業へのインタビュー調査を通じて、テレワークの運用実態を分析した結果、導入初期に指摘されがちなマネジメント不安やコミュニケーションの減少は制度設計や運用の工夫によって一定程度克服され得ることが示された。また、テレワークの最適な実施頻度や運用方法について一定の調整を終えた組織では、導入可否や頻度の是非を問う段階を超え、働き方の質や業務プロセスの高度化といった次の課題へと移行している可能性が示唆された。さらに、テレワークの最適な実施頻度は一様ではなく、業務特性やジェンダーを含む個人属性によって異なる可能性が示唆された。以上より、テレワークの定着は出社の必要性を否定するものではなく、出社の意義を再定義するものであり、出社は協力・連携・信頼を構築するための場として相対化されつつあると結論づけた。
講評  コロナ禍を機に社会的関心を集めてきた企業のテレワーク活用について,その現在地における現状と課題を探った。企業のポリシーが分岐している中で,活用を推進している事例へのインタビューから,今後のテレワークの現実的な活用可能性について価値ある知見と洞察を示している。一手間かけた調査が奏功した好例である。
キーワード1 テレワーク/リモートワーク
キーワード2 出社の意義
キーワード3 働き方の設計
キーワード4 組織文化
キーワード5