| 学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 私的秩序が促す基幹労働力化 ―中高年女性パートに着目して― | ||||
| 内容 | 本研究では、小売業やサービス業を中心にみられるパートタイム労働者の基幹労働力化を、中高年女性パートに焦点を当てて捉え、その背景を明らかにすることを目的とする。 分析にあたっては、統計資料および先行研究を用いて非正規雇用の拡大と就業構造の変化を確認したうえで、現場における中高年女性パートが担う業務内容や役割の変化を把握した。分析の結果、基幹労働力化は企業のコスト削減や人手不足への対応の結果としてだけでなく、「メンバーシップ型雇用」を支える私的秩序が正社員だけではなく非正規労働者にまで浸透した結果として理解できることが示唆された。とくに長期勤続を通じて経験や技能を蓄積したパートが、役割期待や信頼の蓄積を背景に、職場運営の中核的役割を担う存在として位置づけられやすい点が示される。この過程は、パート比率の上昇による「量的な基幹化」と、判断や調整を含む業務への関与の拡大という「質的な基幹化」が同時に進むことによって説明できる。また、現場で形成される明文化されない役割期待や信頼の蓄積が、非正規雇用であるパートタイム労働者にも「やり遂げる」ことを求め、業務内容や責任範囲の拡張を促す可能性が示された。 |
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| 講評 | 本論文は、先行文献の整理と分析に基づく文献研究論文である。本論文は、私的秩序を「就業規則や労働契約に明示されないにもかかわらず、職場内の相互作用の蓄積によって形成され、行動や役割期待を方向づける非公式な規範や慣行の総体である」(p11)と定義して、非正規労働者の基幹労働力化は、コスト削減や人手不足への対応策のみならず、メンバーシップ型雇用を支える私的秩序が非正規労働者にまで浸透した結果であると指摘する。この指摘は的確なものと言える。しかし、非正規労働者の就業実態は多様であり、すべての非正規労働者が基幹化されるわけではない。「基幹化」の実像が明らかにされることが望まれるが、これは文献研究の限界と言える。この点については、今後の調査研究によって明らかにされることを期待したい。また、一般に私的秩序とは、法律ではなく労使による明示または黙示による合意形成の総体を指すものであり、これには労働契約や就業規則なども含まれると解される。したがって、厳密にいえば、本論文で用いられる私的秩序は「職場慣行」あるいは「職場風土」にあたるだろう。 |
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| キーワード1 | パートタイム労働 |
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| キーワード2 | 基幹労働力化 |
| キーワード3 | メンバーシップ型雇用 |
| キーワード4 | 私的秩序 |
| キーワード5 |