卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名寺井 基博 年度2025年度
タイトルジョブ型雇用の導入は正規・非正規間の格差を解消しうるか
内容  本研究では、日本において非正規雇用労働者が全雇用者の約4割を占めている点に注目 し、「ジョブ型雇用への移行・導入は、正規・非正規間の格差を解消しうるか」という問いを検討した。近年雇用形態による構造的格差が深刻化しているが、大手企業がジョブ型雇用を導入し始めたことを踏まえ、この制度変更が格差問題にどういった影響を及ぼすかを理論的に検証する。分析にあたり、濱口、寺井、神林らの先行研究や、大手日本企業3社の導入事例を公開資料に基づいて検討した。本研究の結論は、「条件付きで格差を解消しうる」である。格差の解消には、職務の範囲と総量の明確化、客観的で透明性の高い人事評価、配置転換権の制限、正規・非正規への統一した適用、公正な職務評価、という5つの条件が必要で、これらが欠ければ、いわゆる「名ばかりジョブ型」となり、雇用形態間の格差が職務間格差に置き換わるだけである。ジョブ型雇用の導入を格差解消につなげるには、企業の制度改革だけでなく、法制度の整備や社会全体の取り組みが必要である。
講評 本論文は、正規・非正規労働者間の処遇格差について、ジョブ型雇用を導入することにより「条件付きで格差を解消しうる」と結論づける。その条件とは、職務範囲と総量の明確化、客観的で透明性の高い人事評価、配置転換権の制限、正規・非正規への統一した職務適用、公正な職務評価という5つであり、これら要素が欠ければ「名ばかりジョブ型」となって、雇用形態間の格差が職務間の格差に置き換わるだけになるとする。しかし、大企業が導入したと喧伝される「ジョブ型雇用」について、本論文は、役割を「職務」に言い換えた「日本的ジョブ型」であると分析している。その分析を踏まえて、なおジョブ型雇用による非正規労働者の処遇是正を検証することについては、理念先行の感は否めない。
キーワード1 非正規雇用労働者
キーワード2 正規・非正規格差
キーワード3 ジョブ型雇用
キーワード4 日本的雇用システム
キーワード5