| 内容 |
本研究では日本における学びなおしの低調さをデータで示した上で、その普及を阻む要因を①時間的制約、②費用負担、③必要への意識という三つの観点から検討し、さらに属性別の参加状況を分析することで、学習機会への格差がどのような構造のもとで生じているのかを明らかにした。
分析の結果、日本では長時間労働や家庭内責任による時間制約、企業による教育訓練投資の乏しさ、学びとキャリアが結びつきにくい制度的環境が重なり合うことで、学びなおしが実行されにくい状況が形成されていることが示された。また、学びなおしへの参加格差は、個人の意欲や努力の差というよりも、企業の人材投資行動や雇用慣行、支援制度へのアクセスといった構造的要因によって生じている可能性が高いことが確認された。
以上の分析の結果より、学びなおしを労働者個人の責任に委ねるだけでは、その普及や公平性を確保することは困難であることがわかった。今後は、学習時間の確保や費用支援の拡充、学習成果の社会的評価の仕組みづくりなど、学びなおしを支える条件の整備が不可欠であり、同時にそれが過度な能力主義や達成主義を強化する装置とならないよう、その社会的な位置づけについても慎重な検討が求められる。 |