| 内容 |
本論文は、英語圏・非英語圏での海外経験を持つ6名の帰国生へのインタビューを通して、帰国時期・滞在地域による違いが、帰国後の適応や進路・キャリア選択にどのような影響を与えるのかを明らかにすることを目的とした。先行研究では、英語圏での滞在経験や現地校に在籍することなど、英語力が帰国生の経験活用を促進する要因として重視されてきた。しかし、本研究の結果からは、帰国時期や帰国後の学校環境がより大きな影響を及ぼすことが示された。特に小学校高学年での帰国は心理的・社会的負担が大きいことが示唆された。また、大学の進路選択においては、海外経験そのものより帰国後の環境が重視される傾向がみられた。英語圏と非英語圏との比較からは、「帰国生は英語ができる」という英語圏中心の一般的な帰国生像と、非英語圏の帰国生の自己認識との間にギャップが存在することが明らかになった。一方で、地域や時期を超えて、帰国生は海外経験を通して視野の広さや多様性を受け入れる姿勢を身につけ、それらを将来に活かそうとする共通した意識を持っていた。本論文は、帰国生を画一的に捉えるのではなく、個々の経験の多様性に目を向ける必要性を示している。 |