| 内容 |
障がい者の家族に関する研究は、障がい者本人や親に焦点を当てたものが大半を占めており、健常者であるその兄弟姉妹(「きょうだい」)に関する研究は依然として少ない。しかし、「きょうだい」は親よりも障がい者本人(「同胞」)と過ごす時間が長く、親の高齢化に伴うケア役割の移行期において、自身の職業的キャリアの形成に大きな影響を受ける可能性が高いと考えられる。そこで、「きょうだい」の職業的キャリアプランの形成に「同胞」の存在が与える影響の実態と構造を明らかにすることを目的に、重度の知的障がい者の「きょうだい」3人に半構造化インタビューを実施した。その結果、職業的キャリア形成の初期段階では「同胞」へのケア役割意識が直接的な職業キャリアの制約とはならなかったが、長期的な視点で見ると、「同胞」の存在は「きょうだい」の職業的キャリアプランの形成に一定の影響を及ぼしていることが、先行研究の指摘通り確認された。また本研究における新しい知見として、「きょうだい」の職業的キャリア観にはQOLや自己実現を重視する傾向がみられたことや、第一子か否かによって将来的なケア役割意識の程度が異なるという具体的な示唆が得られた。 |