| 学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 佐伯 順子 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 始まりの遺作――小津安二郎 『秋刀魚の味』 | ||||
| 内容 | 本論文では「遺作」として扱われることが多かった小津安二郎の『秋刀魚の味』(1962年)を小津安二郎の急なる死によって結果的に遺作と「なってしまった」作品であることを前提とすることから始まる。 『秋刀魚の味』が小津安二郎の監督人生の終わりではないことを裏付ける「始まり」の痕跡を、作品外からは小津安二郎と日本映画界の状況(例えば―興行収益や同時代の、―作品の評価)―という時代のコンテクストに基づいて分析し、作品内としては演出的な特徴(―クロースアップの増加、メロドラマ性の強化)―を中心に分析を行った。 こうした「始まり」の痕跡を分析することは小津安二郎を 「作家」としてではなく、避けることのできない映画産業史という時代のコンテクストに包摂されている「監督」としての小津安二郎を見直す手がかりとなり、ひいては小津安二郎と『秋刀魚の味』にかかっている「作家」と「遺作」という「霧」を晴らすことによって、小津安二郎をより正確に日本映画産業史のなかに位置付けられると思われる。 |
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| 講評 | 小津安二郎の映画『秋刀魚の味』の作品分析を通じて、作品論にとどまらず、同時代の映画界の状況や映画産業のあり方を明らかにした、独創的で有意義な研究。小津安二郎についての先行研究は多いが、小津の『秋刀魚の味』に焦点を絞り、かつ、小津は同作を契機にさらに自身の映画表現を発展させる意図をもっていたにもかかわらず、彼の急死が結果として同作を「遺作」としてしまったことを、映像の質的分析から明らかにしたことが、本論文独自の成果である。「始まりの遺作」という表現も的確であり、大学院でのさらなる研究につながる実証的かつ堅実な研究として評価できる。 |
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| キーワード1 | 小津安二郎 |
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| キーワード2 | 『秋刀魚の味』 |
| キーワード3 | 日本映画産業史 |
| キーワード4 | クロースアップ |
| キーワード5 | メロドラマ |