卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名池田 謙一 年度2025年度
タイトル人をつなぐ報道の形 ー伝達形式と心理特性がニュース受容に与える影響ー
内容 本研究は、党派性や情報発信元に左右されず、伝えるべき情報ができる限り多くの人に届き、多様な立場や意見が交わされる「人をつなぐ報道」の在り方を検討した。「人をつなぐ報道」は、①情動的共感、②異なる意見や立場を受け入れる社会的寛容性、③ニュース接触によって形成される社会的リアリティ、の三要素から定義した。分析では、受け手のニュース受容を高める伝達形式(語り口)に着目するとともに、近年高まりつつあるマスメディア不信を背景としたメディアシニシズム、さらにニュース内容を熟考しようとする認知欲求も考慮した。その結果、伝達形式よりも個人の心理的特性の方がニュース受容に強い影響を与えることが示された。特に、メディアシニシズムが高い人ほど、自身の情報処理能力に対する自己効力感が低い傾向が確認された。
講評 社会の分断が加速するかに見える2020年代において、SNSのインパクトばかりが注目されるが、他方、分断の間を超え異質な意見の持ち主の間を架橋する報道の役割はもっと強調されてよい。プロフェッショナルな組織として社会や世界の動向を伝える基本的なメディアだからである。本研究では2025年参院選における参政党の躍進を踏まえ、同党に関する報道の内容を実験的に操作し、その伝達形式の差異、および受け手の心理特性がニュース受容に及ぼす効果を検討した。伝達形式は当事者視点、専門家の視点、および両者の視点交差型の記事を提示する三条件、およびファクトチェック記事のレーテングあり/なしによる二条件を操作した。また、心理特性としては先行研究から受け手の共感を生み出す反省的自己同一化、メディアシニシズムに特に注目した。結果は、伝達形式そのものの効果は限定的である一方、反省的自己同一化やメディアシニシズムにはニュース受容に弁別的効果が明瞭に見られた。全体として説得力は高いが、論述のロジカルなラインが見えにくいところがあり、より分かりやすい記述を試みる余地はある。
キーワード1 反省的自己同一化
キーワード2 社会的寛容性
キーワード3 メディアシニシズム
キーワード4 共感
キーワード5