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本稿では、テレビドラマ「孤独のグルメ」を対象に、主人公・井之頭五郎が海外グルメを食べる際の独白(心の中の語り)に表れる日本らしさを分析した。先行研究では一人で食事をするという設定に着目したものが多く、独白を悉皆調査した研究は見当たらない。そこで、全120話のうち海外グルメが登場する36話を対象に独白をすべて書き起こし、その内容を分析した。
調査の結果、独白には大きく2つの特徴が確認された。1つ目は、主にアジア圏の料理や雰囲気になつかしさを感じる「異国情緒・郷愁」に関する語りである。日本とアジアを差異化し、アジアを劣位に捉えるオリエンタリズム的な視線を通して、日本らしさが見出されている。2つ目は、日本の季節感や日本語、生活習慣を用いる「日本アナロジー」 と、白いご飯を基準に料理を評価する「米との関連」に見られる語りである。これらの独白は、五郎自身の生活感覚にもとづいた身近な日本を基準に、異文化を理解しようとしていることを意味する。このような語りが成立する背景には、五郎の内面が独白として言語化される作品形式の特性がある。視聴者も潜在的に抱く感覚として受け取りやすく、本作品の人気を支えていると考えられる。 |