卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名勝野 宏史 年度2025年度
タイトルSNSにおけるアンチ行為の社会学的分析 ―アーティストと政治家へのアンチ言説を事例として―
内容 本論文は、SNS時代に顕在化する「アンチ行為」を、単なる誹謗中傷や逸脱行為としてではなく、社会的・文化的実践として捉え直すことを目的とする。第2章では、日本におけるアンチ行為の歴史的・文化的背景を整理し、匿名掲示板文化からSNSへの移行の中で、否定的言説がいかに日常化・可視化されてきたかを明らかにした。第3章ではMrs. GREEN APPLEを事例に、ファンダム内部での価値観の衝突や自己位置づけとしてのアンチ行為を分析した。第4章では斎藤元彦兵庫県知事を対象とし、政治的文脈におけるアンチ行為が道徳的非難と人格否定の間で揺れ動く構造を検討した。これらの分析を通じて、アンチ行為は感情の発露にとどまらず、規範意識の表明や共同性の形成に関与する社会的実践であることを示した。
講評 本論文は、SNS時代に顕在化する「アンチ行為」を単なる誹謗中傷ではなく、社会的・文化的実践として再定位した点で意義がある。日本における匿名掲示板文化からSNSへの移行を整理し、否定的言説が日常化・可視化される過程を示した枠組みは妥当である。さらに、Mrs. GREEN APPLEの事例ではファンダム内部の価値衝突と自己位置づけとしてのアンチ行為を、斎藤元彦兵庫県知事の事例では政治的文脈における道徳的非難と人格否定の揺らぎを分析し、文脈差を比較した点も評価できる。アンチ行為を規範意識の表明や共同性の形成に関与する実践と捉えた結論は示唆的である。一方で、批判と逸脱の境界や、オンライン特有の拡散構造との関連をさらに理論的に整理すれば、議論の射程は一層明確になっただろう。
キーワード1 アンチ行為
キーワード2 SNS
キーワード3 承認実践
キーワード4 価値規範
キーワード5