卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名勝野 宏史 年度2025年度
タイトル就職活動がもたらす自己アイデンティティ形成 ―多様化するアイデンティティへの考え方と就職活動の行動変容―
内容 「就職活動」という社会活動が大学生の自己アイデンティティに与える影響を、歴史的変遷を辿るとともに、AIとの関わり方やジェンダーの観点を交えて検討した。研究内では2026年度卒業予定の大学生10名へのインタビュー調査と梶田叡一の三層モデルを用いて、AI時代の自己アイデンティティ変容を分析した。就活は歴史的に学校推薦から自己PR中心へ変化し、近年はAIによるES・面接評価が普及した。AIは効率と公平を掲げる一方、評価基準の不透明さから学生は論理性や定量性を重視した“AIに好まれる自己”を演出しやすく、個性が抑制される傾向がみられた。インタビューでは、男性は性別を意識しないと答える一方、女性は場面に応じた自己提示を行っており、社会的期待が非対称に作用していた。AIは既存のジェンダー規範を再生産する可能性もあり、自己表現は標準化へ向かう危険がある。今後はAIと対人評価を補完的に組み合わせ、透明性を高め、多様な“自分らしさ”を尊重する仕組みが必要である。制度設計には評価過程の説明責任とジェンダーバイアス点検が不可欠である。
講評 本研究は、「就職活動」という社会的制度が大学生の自己アイデンティティに与える影響を、歴史的変遷・AI活用・ジェンダーの観点から多角的に検討した点で意義深い。学校推薦中心から自己PR重視へ、さらにAIによる評価導入へと至る変化を整理し、梶田叡一の三層モデルとインタビュー調査を用いて分析した構成は明確である。とりわけ、学生が“AIに好まれる自己”を演出する傾向や、女性が状況に応じた自己提示を強いられる非対称性を指摘した点は説得力がある。また、AIが既存のジェンダー規範を再生産しうる可能性を示し、透明性や説明責任の必要性を提言した点も重要である。一方で、AI評価の具体的仕組みやバイアス発生のメカニズムをさらに詳述すれば、制度設計への提案はより実証的な厚みを持っただろう。就活を通して本人が感じが違和感などが研究に反映されていた点も評価できる。
キーワード1 自己アイデンティティ
キーワード2 AIアルゴリズム
キーワード3 ジェンダー認識
キーワード4 自己表現
キーワード5 就職活動