| 内容 |
本研究は、家庭環境の違いが子どもの思考特性や将来の選択にどのような影響を与えるのかを明らかにし、その変化可能性を検討することを目的としている。日本では経済格差の拡大により、子どもの貧困や教育機会の不平等が問題となっており、家庭の経済状況は学力や進路選択に大きな影響を及ぼしている。しかし、子どもの人生を左右する要因は経済的条件だけでなく、文化資本や社会資本、情報環境など多面的である。本研究では、ブルデューの文化資本論や社会資本論、言語コード理論、さらに心理学の自己効力感理論などを踏まえ、裕福層と貧困層の子どもに見られる計画性、挑戦志向、援助要請、将来展望といった思考特性の違いを整理した。その結果、これらの差は個人の能力や努力の違いではなく、生活条件や支援資源へのアクセスの差が積み重なった結果として生じていることが示された。また、思考特性や価値観は固定的なものではなく、体験機会の保障、相談できる人間関係、学び方を支える教育的働きかけなど、環境を整えることで変化し得る可能性があることも明らかになった。本研究は、格差を固定的に捉えるのではなく、制度や支援の設計によって是正し得る課題として捉え直す視点を提示している。 |