卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名立木 茂雄 年度2025年度
タイトル「演じる私」と「評価される私」 - ゴフマンの印象操作論から見る TikTokパフォーマンスの分析一
内容 本研究は、SNS時代における自己呈示と印象操作の在り方を、筆者自身のアイドル活動およびTikTok 投稿データを用いた自己史分析によって明らかにすることを目的とする。分析にはゴフマンの「行為と演技』を理論的枠組みとして用い、再生数といいね数という異なる評価指標に着目した。
その結果、再生数はアルゴリズムや流行楽曲といった構造的要因に大きく左右される一方、いいね数は投稿者自身のキャラクター、表情、衣装などの印象操作が観客の期待と一致した場合に増加する傾向が確認された。また、活動の進行に伴い、役割の固定化と多層的演技が進むことで、自己と役割の乖離が生じ、パフォーマンスの疲弊や破綻につながる過程も明らかとなった。本研究は、SNS上の自己呈示が持つ構造的特徴とその心理的影響を具体的事例から示す点に意義がある。
講評 本論文は、Erving Goffman の The Presentation of Self in Everyday Life を理論的基盤として、TikTokにおける自己呈示の実践を実証的に分析した、きわめて完成度の高い研究です。本論文は、3回生後半から原著を精読し、Front Stage/Back Stage という概念を単なる引用にとどめず、自身のパフォーマンスを分析するための理論的ツールとして主体的に活用しました。その上で、TikTok上での投稿と反響をデータとして収集・整理し、どのような文脈で自己が演出され、どのように受け取られているのかを丁寧に検証しています。とりわけ、当事者としての実践と分析とを往還させる姿勢は一貫しており、自己省察に閉じることなく、社会学的概念によって経験を相対化できている点が高く評価できます。本研究は、SNS研究にGoffman理論を適用する一つの優れた実例であると同時に、当事者による Reflective Practice のお手本とも言える卒業論文に仕上がっています。
キーワード1 印象操作
キーワード2 多層的演技
キーワード3 役割の固定化
キーワード4
キーワード5