卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名立木 茂雄 年度2025年度
タイトル推し活における義務感に影響する要素とその構造についての研究
内容 本論文は、推し活を行う多数の人間から共通して発生する義務感について、影響を与える要素を検討してその構造を明らかにすることを目的とした一連の研究について記したものである。推し活は人々の幸福感を増大させるものとして今や老若男女に広まっているが、ネガティブな面が学術的に指摘されていることは少ない。そこで、筆者の周囲で推し活を行う人々から話を聞いた際に共通して得られた、「推し活において義務感を持つ」という現象に注目し、何が義務感を強めたり弱めたりするのかについて調べることにした。分析の結果、推し活における義務感に絡む根本意識を、「承認・競争因子」「献身因子」「信念因子」「連帯因子」の4つに整理することができた。また、「承認・競争因子」、「献身因子」、「信念因子」および「推し活行動量」、「推し満足感」は義務感と有意な関係を持つことがわかった。また、特に「承認・競争因子」は義務感を強め、「推し満足感」は義務感を弱めることが明らかになった。
講評 本論文は、推し活に内在する「義務感」という、これまで十分に検討されてこなかった側面に着目し、その構造を実証的に明らかにした研究です。一般に推し活は幸福感や充実感を高めるものとして語られがちですが、本研究はその背後にある負担感や葛藤を社会学的に捉え直している点に大きな意義があります。本論文は、3回生後期から先行研究のレビューを丁寧に行い、4回生前半には少数の典型例に基づくケーススタディを通じて研究課題を深化させました。さらに、それらを踏まえて緻密な尺度開発を行い、構成概念を科学的に測定する独自尺度を構築した上で、因子分析や順序ロジスティック回帰分析による検証を行っています。この一連の研究プロセスは極めて計画的かつ論理的であり、学部卒業論文として非常に完成度の高い成果に仕上がっています。本論文は、ファン研究に新たな視角を提供するとともに、現代社会における感情と消費の関係を考える上でも重要な示唆を与えるものです。
キーワード1 推し活
キーワード2 義務感
キーワード3 ファン心理
キーワード4
キーワード5