卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名尾嶋 史章 年度2025年度
タイトル現代社会における音楽を通じた「ゆるやかなつながり」の機能 ――「液状化する社会」における若者の生存戦略――
内容 本論文は、現代の若者が音楽を通じて形成する「つながり」の実態とその社会的機能を、メディア環境の歴史的変遷と社会学理論に基づき考察したものである。
かつてのCDによる「所有」からサブスクリプションによる「アクセス」への移行に伴い、音楽は個人の感情を調整する機能的なツールへと変化した。その一方で、デジタル化の反動として、ライブやフェスといった「現場」での身体的共振や、そこでの一時的な熱狂(ネオ・トライブ)に高い価値が見出されている。
バウマンの提唱する「液状化する社会」において、若者はSNSでのアカウント使い分け(分人主義)や、入退場自由なゆるやかな連帯を、精神的安定を保つための高度な「生存戦略」として利用している。これらは、学校や職場といった固定的な人間関係のしがらみから解放される、リアルとネットが融合した拡張的な「サードプレイス」として機能している。
結論として、現代の音楽コミュニティは単なる娯楽の場ではなく、複数のアイデンティティを管理しリスクを分散させることで、現代特有の孤独や不安を回避するための不可欠な「居場所」であると位置づけた。
講評 音楽によって繋がる若者のコミュニティに関して、現代社会の特徴との関係を理論的に検討し、その調査課題を整理した論文である。バウマンの液状化社会という現代社会の見立てを参考に、その中を生き抜く知恵としての若者の音楽縁の結び方やそれによる若者にとってのメリットが考察されている。非常によくまとまっているが、これをもとにした実証研究に至れば、さらに完成度の高い論文となったと考える。
キーワード1 液状化する社会
キーワード2 若者の生存戦略
キーワード3 拡張的サードプレイス
キーワード4
キーワード5