卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2025年度
タイトル都市周縁部における小規模神社の歴史的変遷と今日的課題 ――兵庫県姫路市大歳神社を例に――
内容  本研究では、姫路市野里地域に位置する大歳神社を対象として、都市周縁部における地域神社が人口移動や生活構造の変化の中でどのように存続しているのかを明らかにした。
 調査の結果、宅地開発や外国籍住民の増加により住民構成が多層化し、従来の「氏子共同体」を基盤とした神社運営は揺らぎつつあることが示された。特に、自治会長が総代を兼ねる仕組みが継続する一方、多くの住民が「役として仕方なく担うもの」と認識しており、総代制が制度疲労を起こしている点が明確となった。
 また、担い手の固定化や役員の短期交代により、行事の意義や神社の歴史が十分に共有されず、住民の「お客様意識」を強化する結果も確認された。
 しかし一方で、少数の主体的な住民による積極的な関わりが神社運営を支えており、子ども世代への体験の継承や花の展示、落ち葉肥料の配布など、新たな取り組みが人々の関心を生んでいた。
 総じて、大歳神社は社会構造の変容の中で「不安定な持続」を続けているが、世代・国籍を越えた緩やかな関係づくりと、地域の記憶を共有する場としての再編が、今後の持続可能性を左右すると結論づけられる。
講評 過疎化が進む地域で神社仏閣の維持が厳しくなっている現状は、誰しも理解しうる問題である。しかし、世帯数や人口がさほど減少しているわけでもない都市部ないし郊外においても、神社仏閣の維持をめぐる環境は脆弱になっている。本論文は姫路市の小規模神社(といっても氏子区域自体は20町にまたがる)を事例に、地域社会の変化総代=町内会長を中心とした運営の実態を調査した。地域社会の事情にさらに踏み込んでほしいところはあるが、異なる立場で運営に関わる人たちの話を聴き、行事にも参加し、内部資料も用いながら、「不安定な持続」としての現状と今後の展望まで描ききったことは評価できる。
キーワード1 小規模神社
キーワード2 担い手不足
キーワード3 氏子意識
キーワード4
キーワード5