| 内容 |
本研究は、在日コリアン女性の「たくましさ」を、ライフストーリーに基づいて明らかにすることを目的とした。本稿の独自性は、本人が語るライフストーリーと他者が語るライフストーリーを織り交ぜて人生を再構成した点、および、父系で語られがちな在日コリアンの親族関係を、女性の系譜である母系から辿った点にある。
同一家族内の在日コリアン1世・2世女性の語りを比較分析した結果、1世のたくましさは、差別や貧困等の社会的制約下で、家族の生存を最優先に働き続ける実践として現れていた。対して2世は、状況そのものを変えるのではなく、感情や意味づけを独自に捉え、与えられた役割を引き受けながら生活を持続させるたくましさが見られた。同じ家庭で育った姉妹であっても、嫁ぎ先や担わされた役割の違いによって、語られる困難やたくましさの形は大きく異なっていた。1世・2世に共通していたのは、不満や怒りを露わにするよりも、日々の生活を送り続けることを優先し、たくましさが個人の成功ではなく、家族関係の中で表れている点である。本研究は、在日コリアン女性のたくましさを、世代や状況に応じて形を変えながら継承されてきた実践として位置づけ、その多様性を明らかにした。 |