卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2025年度
タイトル在日コリアン女性の「たくましさ」の社会学ー世代間ライフストーリーに着目してー
内容  本研究は、在日コリアン女性の「たくましさ」を、ライフストーリーに基づいて明らかにすることを目的とした。本稿の独自性は、本人が語るライフストーリーと他者が語るライフストーリーを織り交ぜて人生を再構成した点、および、父系で語られがちな在日コリアンの親族関係を、女性の系譜である母系から辿った点にある。
 同一家族内の在日コリアン1世・2世女性の語りを比較分析した結果、1世のたくましさは、差別や貧困等の社会的制約下で、家族の生存を最優先に働き続ける実践として現れていた。対して2世は、状況そのものを変えるのではなく、感情や意味づけを独自に捉え、与えられた役割を引き受けながら生活を持続させるたくましさが見られた。同じ家庭で育った姉妹であっても、嫁ぎ先や担わされた役割の違いによって、語られる困難やたくましさの形は大きく異なっていた。1世・2世に共通していたのは、不満や怒りを露わにするよりも、日々の生活を送り続けることを優先し、たくましさが個人の成功ではなく、家族関係の中で表れている点である。本研究は、在日コリアン女性のたくましさを、世代や状況に応じて形を変えながら継承されてきた実践として位置づけ、その多様性を明らかにした。
講評 在日コリアン女性史を叙述するときに、その枠組(構え)と方法が極めて重要である。本論文は、在日コリアン史やその他の研究において形容する語としてしばしばば何の説明もなく用いられてきた「たくましさ」をキーワードとし、在日コリアン女性の生き方を描こうとした。また、方法として著者の母方の親族をあえて母系で辿り、1世(もう直接話が聞くことのできない)や2世の生き方について複数の人々の語りから再構成するという、ユニークな世代間ライフストーリーという方法を導入した。未整理の部分もあるとはいえ、困難な状況において生き抜くために、それも個人の利己主義ではなく家族関係のなかで多様なかたちで発揮されるものとして「たくましさ」があったという知見は、実にリアルなものがある。
キーワード1 在日コリアン女性
キーワード2 たくましさ研究
キーワード3 ライフストーリー
キーワード4
キーワード5