卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2025年度
タイトル「イルベ化」する青年男性と韓国社会 ―― 大学生コミュニティ「エブリタイム」を中心に ――
内容  本研究は、2010年代の「日刊ベストアーカイブ(イルベ)」の極右的言説が、2020年代に大学生必須プラットフォームといえる「エブリタイム」を通じて、いかにして青年世代の普遍的な情緒へと拡張したのかを分析した。仁荷大学校のエブリタイム掲示文データ分析と深層インタビューを遂行した結果、大学生活情報を得るための「不可避な接続」が、嫌悪表現を日常の空気のように受容させる核心機制であることが明らかになった。
 研究の結果、青年男性たちは新自由主義的な生存不安の中で、「公正」を機械的な能力主義として再定義しており、これに反する女性やマイノリティ集団を、自身の取り分を侵害する「フリーライダー」として規定し、嫌悪を正当化する傾向を見せた。特に、彼らが訴える剥奪感は、実在しなかった過去の家父長制的特権を理想化した「発明されたノスタルジア」に起因する。本研究は、大学街の「イルベ化」が一部の逸脱ではなく、新自由主義的競争に適応するための青年たちの悲劇的な生存戦略であることを究明し、嫌悪解消のための公論の場の回復と構造的介入の必要性を提言する。
講評 韓国における青年男性の保守化は、大統領選で世代差とジェンダー差がかなり強く出ていることにもよく表れており、その特徴や原因を解明することは重要な課題である。関連する研究もそれなりにあるなか、本論文は大学生の会員制オンライン掲示板「エブリタイム」を中心として、男子学生たちのなかでいかにミソジニーと政治・経済的保守の混ざった文化が拡大してきたかを明らかにしようと試みた。仕上げの甘い箇所が多々見られるが、英語やコリア語の先行研究をしっかり読み込み、会員制サイトの掲示板のテキスト分析をおこなうとともに、実際に利用している大学生やその影響を感じながら働く大学教員にインタビューをおこなうことにより、新自由主義時代に適応するための能力主義幻想と「発明されたノスタルジア」の産物であると喝破した点が興味深い。
キーワード1 保守化
キーワード2 日刊ベストアーカイブ(イルベ)
キーワード3 エブリタイム
キーワード4
キーワード5