卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名板垣 竜太 年度2025年度
タイトル伝統産業の社会的分業制における問屋の存在――高岡銅器産業を例に――
内容 本稿は、富山県高岡市における高岡銅器産業を対象に、分業制の構造変化とその中で果たされてきた問屋の役割の変化を明らかにすることを目的とする。高岡銅器は江戸時代に産業が興り、明治時代から問屋を中心とする分業制を長らく維持してきた。本研究では、地場産業研究および分業制の先行研究を参照しつつ高岡銅器産地の類型化を行い、その特性を整理した。さらに、問屋と職人へのインタビュー調査を通じて、産地内部の変化を検討した。その結果、バブル崩壊以降の需要減少を背景に、従来問屋に集中していた商品企画、在庫管理、販売といった機能が現在では縮小して職人へと分散し、問屋の存在が希薄化したことで、問屋中心の垂直的分業構造から職人主体の水平分業的構造へと移行していることが明らかとなった。一方で、分業制そのものは依然として維持されており、今後問屋が分業制の一員として産地内にあり続けるためには、従来の機能だけでなく新たな価値を創造し、その役割を再編していくことが求められる。
講評 伝統産業にもさまざまな形態があるが、富山の高岡銅器の場合、もともと地域に分散する複数の職人(製造業者)を問屋が束ねる垂直的分業がおこなわれてきたところ、戦中・戦後の生産縮小、高度経済成長期の生産拡大を経て、バブル経済崩壊後、市場規模の縮小とともにその構造が大きく変容を迫られてきた。本論文は、自身の家族が問屋であるという条件を活用し、複数の業者が関わる高山銅器の複雑な分業構造の変容と現状の解明に挑んだ。その結果、バブル期にピークに至った高岡銅器の調整様式が問屋を中心としたフォーディズム型になっていたこと、それが崩壊したことをきっかけに、結果的に問屋が果たしていた機能が職人たちに分散していったこと、にもかかわらず調整役の存在を職人たちが望んでいることなどを明らかにした労作である。
キーワード1 伝統産業
キーワード2 分業制
キーワード3 問屋
キーワード4
キーワード5