| 学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 森 千香子・木戸 衛一 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 「コミュ障」を作り出す社会――排除の構造と逆利用 | ||||
| 内容 | 本稿は、ネットスラングである「コミュ障」を「象徴的暴力」という概念からとらえ、社会が生み出した構造的な排除のメカニズムとして分析したものである。「コミュ障」を再考するなかで、日本社会の精神構造とされる「場の倫理」という視点から、個人の特性ではなく、不可避的な排除の過程において生まれたスケープゴートとして「コミュ障」の定義を行った。さらに、当事者の生きづらさについても考察を行い、「コミュ障」自己啓発書や、それに伴って社会に波及する「コミュ障」忌避の風潮が生きづらさを増幅させていることを明らかにした。くわえて、「コミュ障」の自称という行為にも着目し、その「キャラ化」およびスティグマの逆利用が当事者の生存戦略として位置付けられつつも、それが再帰的に当事者を苦しめうるという逆説的なはたらきを論じた。 |
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| 講評 | コミュニケーション能力がことさら重視される時代において、「コミュ障」のレッテルを貼られた人びとはきわめて否定的に表象され、個人の能力の欠如として解釈されることが多い。それに対して本研究は一連の過程をピエール・ブルデューの象徴的暴力概念を用いて捉えなおし、「コミュ障」が個人の問題ではなく、社会によって生み出されているというアプローチをとり、「病」や「恥」として「コミュ障」が構築されてきた過程を脱構築した。そして、スティグマだった「コミュ障」を自称として引き受ける行為に光をあて、それが当事者の生きづらさを軽減する可能性が、同時に当事者をその「キャラ」に閉じ込め、生きづらさを増幅させるリスクも孕んでいることが示された。精緻な分析と読み込みで、優秀論文に匹敵する秀作となった。 |
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| キーワード1 | コミュ障 |
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| キーワード2 | 場の倫理 |
| キーワード3 | 象徴的暴力 |
| キーワード4 | |
| キーワード5 |