| 学科 | 社会学科 | ゼミ教員名 | 轡田 竜蔵 | 年度 | 2025年度 |
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| タイトル | 単身赴任から見る「家族」のあり方 | ||||
| 内容 | 単身赴任という家族が物理的に分離された特殊な生活形態において、家族一人ひとりが家族をどのように捉え、どのように関係を維持しているのかを明らかにすることを目的とする。4つの単身赴任世帯における夫(父親)、妻(母親)、子の3人ずつの合計12人に対してインタビューを行い、「生活圏」「ケア圏」「親密圏」という3つの観点から分析した。 分析の結果、単身赴任前の家族関係や連絡頻度、生活リズムといった要因が重なり合い、家族のつながりの感じ方に個人差が生まれていることが明らかとなった。生活圏では、転勤に伴う金銭的な負担の増加が課題として挙げられた。さらに家族内では子どもや親戚との生活の再編が進む傾向がみられた。ケア圏では子どもが大きくなるにつれて母親のケア負担が減少し、父親による遠隔的な子育ての補助が確認された。親密圏では、距離によって親密性が希薄化する家族と、限られた時間を大切にすることでむしろ親密性を強める家族の両方がみられた。 以上より、単身赴任家族は多様な要因が相互に作用することで関係性を維持しており、物理的距離が親密性を一義的に規定しないことが示された。 |
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| 講評 | 本論文は、単身赴任を「家族の病理」ではなく、機能の再配置による適応戦略として捉え直した意欲的な研究である。久保田裕之の「三つの圏域(生活圏・親密圏・ケア圏)」モデルを理論的支柱とし、物理的距離と心理的距離が比例しないことを実証した。近年のICTの役割や、働き方や親密性に関する規範の変容等との関係について理論的洞察を深めたいところだが、4家族の夫・妻・子の三者全員へのオンラインでのトライアド・インタビューを完遂し、家族内の認識のズレや相互作用の連鎖を浮き彫りにした点は特筆に値する。調査対象が関係良好な事例に限定された点に留意は必要であるが、単身赴任を現代家族の多様なあり方の一つとして位置づけ、転勤制度やケアの社会化に関する政策的示唆まで考えられる洞察の豊かな論文である。 |
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| キーワード1 | 単身赴任 |
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| キーワード2 | 離れて暮らす家族 |
| キーワード3 | 親密圏 |
| キーワード4 | 家庭 |
| キーワード5 | 家族機能 |