卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトル「ひとり時間」の役割・重要性――働く母親へのインタビュー調査を通して――
内容 本研究では「ひとり時間」の需要が高まり必要性が認められているなかで、ひとり時間を簡単に確保できない「働く母親」に焦点を当てた。彼女らはひとり時間の重要性についてどう考え、どのように工夫して確保しているのかといった問いをもとに、働きながら小学生以下の子どもを育てる20~40代の女性11名を対象として、事前アンケートへの回答をもとに進める半構造化インタビューを行った。その結果、「働き方」と「ひとり時間志向」の間に相関があること、夫の家事育児協力への満足度が高いとひとり時間への満足度も高くなる傾向があることが分かった。また、隙間時間にひとり時間を確保する工夫と、つい家族や子どもを優先し自分の時間を犠牲にしてしまうといった工夫の限界についての語りもみられた。彼女らはひとり時間の重要性を強く認識し求めているが、母親としての役割意識から自分の時間を上手く充実出来ないという葛藤を抱えていた。結論として、彼女ら自身がそれぞれにとって納得のいく「母親意識の在り方」と「ひとり時間の在り方」のバランスをその都度探っていく時間こそが本当のひとり時間であり、自分と向き合う時間を持つことが彼女らの幸福に繋がると考えた。
講評 本論文は、多忙な「働く母親」の時間の使い方について、単なるワークライフバランス論ではなく、「ひとり時間」の必要性という観点を重視した。筆者は「ひとり」を「ロンリネス」ではなく、むしろ「ソリチュード(創造的孤独)」と捉える観点を重視する。ハンナ・アーレントのような古典的議論にとどまらず、南後由和や谷川嘉浩等が注目したスマホの影響等、幅広く先行研究を踏まえた洞察がある。インタビューでは、夫の協力度が母親の満足度を左右する実態や、働き方によるニーズ(自己実現か休息か)の差異を鮮明にした。筆者は働く母親がひとり時間に何をするのかを詳しく検討したが、ソリチュード論を重視する観点からすると、その時間に自分と向き合ってどのような思索をめぐらせているのかについて、さらに探究したい。
キーワード1 働く母親
キーワード2 ひとり時間
キーワード3 役割意識
キーワード4
キーワード5