卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトルぬいぐるみ愛好家の社会学
内容 本論文は、大人になってもぬいぐるみを愛で続ける「大人のぬいぐるみ愛好家」に焦点を当て、その形成までの過程や、愛好家の視点からみた現在の「ぬい活ブーム」の捉え方を明らかにしたものである。「大人のぬいぐるみ愛好家」の代表として、ぬいぐるみサークルに所属している9名の大学生へ調査を行った。その結果、ぬい活ブームは推し活ブームに端を発するとされているが、実際には彼らの活動に推し活的要素はほとんど見られず、ぬい活は単なる推し活の延長であるとは必ずしもいえないことが示された。ぬいぐるみは家族の代替物やお守り、また、大学等の外の世界で感じうる孤独感や不安感を和らげる「家の中の友達」という意味を持つものであり、ぬい活における被写体以上の意味を持つ存在であった。さらには、推し活に馴染みのないぬいぐるみ愛好家であっても、ぬい活ブーム自体には嫌悪感を抱いておらず、むしろぬいぐるみ愛好家として堂々と生きることができる良いきっかけであると、肯定的に捉えられていることが明らかになった。
講評 本論文は、現代日本の「ぬい活」ブームを追うだけではなく、可視化されにくい内面的なケアの営みに注目した。インタビュー調査を通じ、ぬいぐるみとの関わりを「表現型」と「精神世界型」とに分け、ほぼ全員に後者の要素があることを実証し、ぬいぐるみが成人の精神的インフラとして機能している実態を実証した。また、近年のブームが愛好家の社会的受容を促進しているとの結論も説得力がある。筆者の議論は推し活論と同型だが、流行のメディア文化論の文脈を越え、現代の若者の精神世界を考えさせる。非サークル層や高齢者、男性愛好家等、対象を拡大することで、孤立対策やジェンダー論としての発展も期待したい。なぜ、メディア文化が発展しているこの時代になぜぬいぐるみなのか、さらに問うてみたい。
キーワード1 ぬい活
キーワード2 推し活
キーワード3 ぬいぐるみ
キーワード4 若者文化
キーワード5