卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトル非親元就農者が農家を志し目指すものとは ――親元就農でないからこその思いと困難――
内容 農家の減少が課題の農業界では、新規就農者の存在は極めて重要である。しかし親の営農継承ではなくゼロから始める「非親元就農者」にとっては、農地の取得・技術の習得・資金調達などの参入障壁が非常に高い。では、この厳しい環境下でも就農を目指す彼らのきっかけや目指す姿は何なのか。また親元就農と比較してどれほど困難なのか。これらを問いとし、非親元就農かつ現在自身で営農する7名を対象に、就農のきっかけからの農業観をワークスタイル・起業家・自然・食文化の4類型で整理して調査した。
結果として、就農に至るには単一のきっかけでは難しく、農に興味を持ったきっかけと前職を辞めたきっかけの2つの経験が併存しており非親元就農者の行動力の高さが特徴的であった。また参入障壁の突破にはネットワークの構築が重要であり、周囲の支援が非親元就農者を支えている。就農後には自営業者としての自覚が高まるとともに、社会的価値を生むコミュニティとして農業をとらえる意識の変化もみられ、行動力の高い非親元就農者の社会的影響力が明らかになった。これらから、非親元就農者を増やすには多様な農業観への寄り添いと「繋がり」の支援が重要だと考えられる。
講評 本論文は、非親元就農者に特化し、親元就農とは異なる動機構造と意識変容を解明したものである。就農動機は4つに類型化されるが、地域社会に埋め込まれた産業である農業に親からの相続以外の方法で参入するには、経済資本以上に信頼ネットワークを形成するための特別な努力が不可欠であり、その過程で就農後の意識が自己実現から社会的価値の創造へと深化する、という指摘は示唆的である。調査対象は都市近郊の専業農家に偏る限界はあるが、丁寧なインタビューで移住創業としての農業を志す人々の多様な動機に寄り添う方法を示した点を評価したい。1年以上をかけて生産者が集まるマルシェに関わり、そこで築いた人間関係によって調査協力を取り付け、アクセスの悪い地域の農地をいくつも訪れて取材をした労作である。
キーワード1 新規就農
キーワード2 農家の減少
キーワード3 参入障壁
キーワード4 非親元就農
キーワード5