卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトル現代の神社における「映え」の背景と神職の意識 ――神社・参拝者・地域の三者に着目して――
内容 近年、SNSの普及により神社は「映え」としての需要が高まり、従来の宗教的空間にとどまらず、視覚的・体験的価値をもつ観光地として注目を集めている。氏子の減少や少子高齢化による運営の厳しさのなかで、神社はSNS発信や授与品のデザインなどを通して参拝者を惹きつけようとしており、その過程で神社の意味や役割の再編が進んでいる。本研究は、神社が「映え」やSNS発信をどのように導入し、その背景にどのような意識や要因があるのかを明らかにすることを目的とした。大阪・京都の「映える」神社として注目を集める8社の神職(宮司7名・権禰宜1名)への半構造化インタビューを実施した。分析の結果、「映え」を生み出す主要なアクターの違いに着目すると、神社主導型、参拝者発信型、地域発案型の3類型に整理できた。各類型には、参拝者減少への対応、伝統の新たな解釈、地域活性化の共創など異なる動機が見られた。さらに、「映え」は単なる視覚的演出ではなく、神社が社会状況・観光需要・地域関係の中で自らの存在意義を再構築する契機として機能していた。現代の神社は信仰の場でありながらも、観光や情報環境の変化に柔軟に対応している。
講評 本論文は「映え=視覚的消費」と「宗教的真正性」の関係を、近代宗教と観光化の歴史のなかに位置づけた秀作である。精力的なフィールドワークとインタビューにより、神職による境内空間の「映え」の認識のあり方が現代神社の生存のための適応戦略として分析されるが、とても洗練された論述である。「映え」についてはメディア文化論的な研究が盛んだが、この論文はそれを観光化戦略の文脈で分析した点に特色がある。2010年代以降に「映え」の観点から観光化した神社8社への調査から、その主導者が「神社・参拝者・地域」の三パターンに分かれるという興味深い発見を導いた。本論文は神職に調査対象をしぼったが、こうした三主体の相互の関係をダイナミックに捉えるには、参拝者や地域のアクターへの取材も必要になるだろう。
キーワード1 神社
キーワード2 観光
キーワード3 映え
キーワード4
キーワード5