卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトル地方副業の実態研究 ――「ふるさと兼業」を事例に――
内容 都市部で働く人々が専門人材を求める地方の企業で副業を行う「地方副業」が注目され、社外でのスキルアップなど働く人々の会社に依存しないキャリア形成や人材が不足する地方の企業の事業革新の機会になると言われている。本論文では、地方副業プロジェクトの「ふるさと兼業」を実践する人や地方の企業にインタビューをし、地方副業が行われる背景と地方副業が働く人々や地方の企業に与える影響について調査してその働き方の意義を研究した。ふるさと兼業は本業以外で働く場を求める人と人材を求める地方の企業をマッチングするサービスである。 調査の結果、働く人々は社会貢献や自己実現等の本業で実現で果たせない自身の仕事の目的を達成する手段として地方副業に取り組み、地方副業が自身の軸に即したキャリアへの挑戦を促していることが分かった。また人材活用をした地方の企業では、事業革新への積極性やふるさと兼業等の人材活用の手段を提供する外部団体との地縁的な出会いが実践の背景にあり、実践が新規事業への更なる挑戦など積極的な姿勢に繋がっていた。働く人々のキャリア充実・地方の企業の積極的な事業姿勢をもたらすという点に地方副業の意義があると結論づけた。
講評 本論文は、20世紀半ばの社会学者・尾高邦雄の「職業の三要素」の議論を現代の副業分析に応用し、都市部人材が「地方副業」を通じてキャリア自律と社会的連帯を回復する過程を明らかにしている。岐阜、三重、京丹後と遠方への取材を重ね、労働者、受入企業、仲介者の三者に対して行った質的調査は厚みがある。調査対象が男性かつ成功事例に偏っていることに伴う限界はあるが、当事者へのインタビューを通して、地方副業を単なる人材不足、人手不足の補填ではなく、現代的な働く意義の再獲得の契機として位置づけた点が意義深い。筆者自身、キャリア自律の考え方に惹かれたことが論文執筆の動機となったそうだが、地方副業となると、働く地域・場所の選択に関する自律性という観点についてもさらに深めて考えたい。
キーワード1 副業
キーワード2 ふるさと兼業
キーワード3 地方
キーワード4 働き手不足
キーワード5