卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトル終活にみる物と人、人と人とのつながり
内容 人生100年とも言われる今日、物の再利用が流行している。筆者は、終活における物の処分のうち、手放した物を受け継いでもらう方法の一つとして、高齢者が対面のフリーマーケットに出品していることに着目した。そこで「高齢者は終活の一環としての物の処分を通して、物を手放すことや受け継いでもらうことに対してどのような価値観を抱いているのか、それらの行為は彼らにとってどのような肯定的意味をもたらしているのか」という問いを立てた。先行研究の検討に加え、高齢者が私物を出品するフリーマーケットの観察と、終活において物の処分に取り組む高齢者を対象とした質問紙調査とインタビュー調査を実施した。結果として、高齢者は、物の処分の動機にとどまらず実行においても、家族などの自分以外の人を配慮していると分かった。終活における物の処分とは、高齢者にとって個々の物の位置付けを再確認する機会だといえた。ゆえに高齢者が人生を全うするにあたり、人にとっても良いことは自分の人生にとっても良いとする価値観が抱かれているということと、生涯関わりの絶えない物という存在との付き合い方を考えるという点で物の処分は重要であるということが示された。
講評 「終活」における物の処分について、当事者の主観的な意味付けを明らかにした労作である。超高齢社会における社会調査の重要トピックについて、梅川由紀著『ごみと暮らしの社会学』で示された「モノの3つの価値」理論を応用し、高齢者が「心情的価値」と「機能的価値」「可能性的価値」の間で揺れ動く心理を丁寧に描いた。終活について、フリーマーケットという場に着目がなされ、対面の場での身体的実践やフリマアプリでの交流に着目し、終活が単なる死への孤独な準備作業ではなく、モノの処分過程における周囲の人々との関わりの再構築による社会的包摂の契機として捉えた点は意義深い。終活当事者の階層や家族構成等の社会的属性の多様性、生活史とライフスタイルの具体的内実に踏み込めば、論点はさらに広がるだろう。
キーワード1 終活
キーワード2 物の処分
キーワード3 物の価値
キーワード4 フリーマーケット
キーワード5