卒業論文詳細

学科社会学科 ゼミ教員名轡田 竜蔵 年度2025年度
タイトルオルタナティブツーリズムとしての交流型旅行者  ー日本で交流型旅行をする韓国人を事例としてー
内容 マスツーリズムの弊害に対する批判を受け、オルタナティブツーリズムが注目されている。オルタナティブツーリズムの例として、現地の人と積極的に交流する交流型旅行がある。本稿は韓国人日本旅行者に注目し、彼らがなぜ日本で交流型旅行をし、交流を通じて何を得ようとするのかを問いに研究を行った。韓国人が集まる場所である日韓交流会と韓国人運営ゲストハウスでの参与観察およびインタビューを実施し、韓国人の日本旅行・交流に対する考え方を分析した。交流型旅行者は地理的近接性、安い費用、文化的親しみを持つ日本を好み、単純な観光ではなく現地の日常と文化を学習し、深い交流を追求するローカル指向が強いことを確認した。交流型旅行の目的は深い交流を通じた持続可能な人間関係の形成であった。日韓交流会は参加者の強い行動力と再訪問の容易さを基に長期的で深い関係を、ゲストハウスはスタッフの価値観と環境により短期間に深い交流を促進する場として機能していた。交流型旅行者はローカル消費でオーバーツーリズムの負担を緩和し、従来の「都市-地域」を越えて日韓間の国際的関係人口として日本地域社会と長期的な関係を結び、機能できることを示唆する。
講評 昨今の観光社会学には、有名観光地を巡るのではなく、現地の日常を体験し、現地の人々と交流を深めるツーリズムに注目する潮流がある。筆者は日韓両国のそうした学術的文脈を整理したうえで、韓国人旅行者が単なる観光消費を超え、日韓交流会やゲストハウスを通じて地域住民と関係を築く過程について、参与観察に基づいて丁寧に描いた。国境を超える韓国人の中間層のなかから「インバウンド関係人口」が現れるという着眼点は、非常にインパクトがある。関係人口論は、日本国内の都会と過疎地との関係で語られることが多いが、この論文はそれが日韓の民間交流の場に応用できる可能性を示した。日韓交流の多様なアクターに目配りをして、メディア資料も含めた調査をすれば、このアイデアはより確かに裏付けられるだろう。
キーワード1 オルタナティブツーリズム
キーワード2 交流型旅行
キーワード3 韓国人の日本旅行
キーワード4 関係人口
キーワード5